Creative水ノ理をつくるもの・ひと

庭屋 土香(どこう)の竹澤康介さんの庭

木ノ離・水ノ理の庭

東京は渋谷に事務所を構える竹澤さんですが、

郡上おどりが好きで、毎年のように郡上八幡に通われています。

そんな中「夜は踊るけど、昼間は時間があるので庭仕事がしたいです」と仰られ、そんなご縁から木ノ離の庭をイチからつくっていただくことになりました。

「自分が感じる郡上八幡を、この庭の中に表現しました」

そうおっしゃる木ノ離の庭に身を置くと、水舟から流れる水が、庭の中で小さな川を作り、木々の間を歩くと雑木林の中を歩いているような感覚になります。

そんな「郡上八幡の自然の中を散策する」ような庭は、宿泊いただいたお客様に喜ばれており、「朝は水音を聴きながら庭を眺めて珈琲を飲んで一服しました」というようなお話を聞いて、こちらも嬉しく思っています。

そんな土香さんに、水ノ理の庭もお願いすることになりました。

この建物には、広い庭があり、郡上八幡の町中にしては珍しい、高い樹木が立っています。

「この庭は、長い年月の経過で、山の中と同じような環境になっています。

堆積した落ち葉で、雑草のはえる余地がないほど。言ってみると、『一度人間の手を離れた庭』ですね」と仰る竹澤さん

水ノ理は山の麓に位置し、山から豊富に水が流れてきています。

堆積した落ち葉で水捌けが悪く、雨が降ると庭が池のようになっています。

竹澤さんはそんな水ノ理の庭を、このまま落ち葉を堆積させて、将来は庭の中に池や川など、水の風景を作っていきたいと話されます。

水面に紅葉が映る静の風景と、水が動く風景。

既存樹は整えて、縁側から向かって右の町の方は明るい風景、左側は暗い風景。

落ち葉を肥料に、人が3割、自然7割。人間のエリアと自然のエリアが分かれるような庭。

「今回、この庭を整えるにあたり、この場で過ごすそれぞれの時間、その良さをじんわりと感じられる庭にしたいと思っています。雨の日に・・・晴れた日に・・・ひと言では分かりづらい、よさが充満している庭。縁側から眺める自然の風景と水音をぜひ楽しんでいただきたいです」と竹澤さん。

これから自然と落ち葉が堆積していくのを待ちながら、少しずつ作っていく庭仕事。昔からの庭と人と家の付き合い方は、そうだったのかもしれない。竹澤さんさんのお話を聴きながら、そんなことを考えさせられました。